2007/06/02

300よりキューブリック

本日は映画300を見てきました。

弱い子供は谷底に捨てられ、飢えた猛獣と戦う成人の儀式を通り抜けてきた勇者だけを一人前と認めるスパルタ王国。その中の屈強な男たち300人が、100万人からなるペルシア大帝と戦うという、史実にもとづいたストーリー。最初から最後まで、どこまでも血なまぐさく重苦しい映画です。

映像は綺麗っちゃあ綺麗だけれど、なにしろ暗い。スクリーンで予告を見て、なんとなくこんな感じ?と思ってはいたけれど、アメリカで大ヒットという言葉に、もしかしたら面白いのかも…なんて思った自分がバカだった。まあ、これも経験と前向きに受け止めることにしましょう。

ここで比べても仕方ないけれど、スパルタと言えば、

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5
リドリー・スコットの「グラディエーター」が霞んでしまう。,


↑これでしょう。キューブリック作品なのに、キューブリック臭があまり感じられないのは寂しいけれど、映画だったらこのくらい見せてほしいかなーと思ってしまうのが正直なところ。3時間もの歴史大作ながら、話も分かりやすいし、なにしろ今の映画では滅多にお目にかかることのない長回しっぷりが楽しめます。ここ数年の傾向というか流行というか、やたらワンカットが短くて。それがスタイリッシュだとでも思ってるのかね…と鼻で笑いたくなることも多い昨今ですが、その点昔の映画はいいよね。誰でもいいからアルトマンばりの長回ししてみい!と、K-1リングの上から叫んでみたい今日この頃です。

キューブリック映画と言えば、やっぱ一番好きなのは時計じかけのオレンジ、もしくは博士の異常な愛情/または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか(タイトル長っ!)か。



時計じかけのオレンジは、映画を見る以前に小説を読んでいたのですが、何もかもが抱いていたイメージ通りで。ストーリーは、あらゆる暴力を楽しむアナーキーな若者アレックスが、あるきっかけを経て悪人を善人に変えるという洗脳実験を受けるというもの(ものすごい大雑把な説明だけど)。見た目に分りやすいものから無意識に潜むものまで、この映画はさまざまな"暴力"に気づかせてくれます。そしてなにより、近未来を描いた映像美とクラシック音楽が素晴らしくマッチしていて、どの角度から見ても楽しめる金太郎飴のような作品です。

博士の異常な愛情は、アメリカとソ連冷戦時代に起こりうる核戦争を強烈に皮肉った、これよく上映できたな…と見る度に感心してしまうほどの超ブラックコメディ。ラストの歌にキューブリックのセンスを感じる、本当に大好きな映画。そして、この中でのびのびと3役を演じているピーター・セラーズは本当に素敵、私の中では超偉人です。

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