とサラッと説明致しましたが、伊沢さんの執念と集中力は半端じゃあございません。朝10時にナオスケを見つけたところから翌朝6時にその場所に戻るまで、ナオスケの行動の邪魔にならないように後を付けつづけた記録が綴られているんです。ナオスケが昼寝をすれば近くで何時間も待機し、高い塀を飛び越えれば鉢合わせしないように慌てて塀の向こうに走って行く。のんびり食事をとる暇もなく、昭和の刑事ドラマの張り込み場面のように、適当な店でパンを買い、道ばたで猫を観察しながら立ち食いと。一歩間違えたら通報されるよ?ってこちらが心配になるくらいですが、ノラネコ同士が偶然鉢合わせしちゃった時とか、自分の好きな場所が既に他の猫に占領されていた時とか、目と足を頼りに観察したからこそわかる情報もあり。読んで満足の一冊です。
そんでもってまるで自分がナオスケを観察しているかのように描かれた平出衛さんのイラストが、この本の内容にピッタリなんですよ。カット数が多いから猫(たまに人とか犬とか)の動きが判りやすいし、視点を変えたり地図で示したりと、方向音痴な私でも、よく知る町の話を見ているような錯覚に陥ります。
0 件のコメント:
コメントを投稿