2007/10/13

パンズ・ラビリンス

今日は以前から楽しみにしていた映画、パンズ・ラビリンスを鑑賞。アカデミー賞授賞式の時に紹介されているのを見て以来、この映画が日本で公開される日をずっと待っていたのです。



内戦の数年後、1944年のスベインでの話です。内戦終結後もゲリラたちは圧政に反発し、森の中で戦いを繰り広げていました。仕立て屋だった父を内戦で亡くした少女オフェリアは、妊娠中の母と母の再婚相手である大尉に引き取られ、その森の中で暮らす事になります。義理の父となった大尉は冷酷残忍な性格で、母のお腹の子を男と決めつけ、オフェリアを疎ましく思っている様子。辛い現実から逃れるように、オフェリアは不思議な世界へ足を踏み入れて行きます。

これは期待以上の、本当に本当に本当に素晴らしい映画でした。残酷でおぞましく、ぐちょぐちょでドロドロでこれこそがファンタジー。ファンタジーは子供向けの絵空事ではなく、悲惨な現実を語るため、伝えるためのひとつの方法なのだと改めて感じます。優しさに溢れた美しいラストシーンに涙が止まりませんでした。

1日に2本ほどDVDで、週1の頻度でスクリーンで映画を見ていますが、年に1本でもこれだけ素晴らしい作品に出会えりゃラッキー。実際には5年に1回くらい?って感じもします。なにしろこの映画は私の宝です。早くDVD出ないかなー。てか、も一度スクリーンで見たいな。

この映画を不思議の国のアリスに例えた人がいたけれど、どちらかといえば千と千尋? スペイン内戦がらみのファンタジーということで、ミツバチのささやきに似ているという人もいるけれど、それもまた違うような。監督がジブリの大ファンというのもうなずけるような場面もいくつかありました。オフェリア役の女の子はほたるの墓が好きなんだそう。撮影前に監督に勧められ、風の谷のナウシカを見たそうです。

映画館から帰る途中、この監督に澁澤龍彦の高丘親王航海記を映画化してもらいたいと思いました。高岳親王航海記はまぎれもなく私の一番好きなファンタジー小説ですが、今まで映像で見たいなんて考えたことは一度もなかった。でもきっとこの監督なら満足できるものを作ってくれるような気がして。ま絶対にあり得ない話なんだけどさ。ともかくこの映画のおかげで、しばらくは幸せな気持で過ごせそうです。

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