2007/10/15

善き人のためのソナタ

先日見たパンズ・ラビリンス。素晴らしい内容だったけど、確かアカデミー外国語映画賞を受賞したのはドイツ映画だったよな…と気になり、受賞作をレンタルしてみました。

善き人のためのソナタ
スタンダード・エディション

B000PWQS3G
ウルリッヒ・ミューエ
セバスチャン・コッホ
マルティナ・ゲデック


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ベルリンの壁が崩壊する5年前の1984年東ドイツ。社会主義国家に忠誠を近い、反体制分子を摘発することを生き甲斐としている優秀なシュタージ(東ドイツの秘密警察・諜報機関)のヴィースラーが主人公です。

上司から作家ドライマンの監視を指示させたヴィースラーは、彼の留守に入り込み部屋中に盗聴器を設置。部下と2人で24時間態勢で監視し続けます。そんな中、ドライマンがピアノで弾き始めたのは、反体制分子と見られ仕事を奪われた演出家の友人からプレゼントされた楽譜、善き人のためのソナタ。それを監視部屋で聞いているヴィースラーの心に、目には見えない変化が起こり始めます。

と、これまたベタにざっくりと紹介しましたが、実に素晴らしく良く出来た映画でした。超オススメ。どちらが好きか聞かれたら、迷わずパンズ・ラビリンスと答えるけれど、人に勧めるのならこちらです。アカデミー賞貰うのも納得だわ。

途中、2時間弱くらいの辺りかな? ちょうどキリがよく、ここでラストかな?と見てたらその続きがあり、これが蛇足にならなきゃいいけど…なんて思っていたら、そこからが更に良かった。驚いたのは本作の監督は33歳。これが初の長編作品だそうで、4年間に渡り関係者のリサーチを続けたそうです。それだけにリアリティもあり、さらにエンタテイメント作品としての見応えも充分。たいした才能だと思いました。

実際のところ、旧東ドイツでは家族や親しい人の中にもシュタージがいたとのこと。ベルリンの壁崩壊後、シュタージによる膨大な個人情報は一般に公開されますが、その時、自分の監視情報を閲覧している際に、それまで疑いもしなかった家族や恋人が諜報活動に従事していたことを知り、人間関係が崩壊する例も少なくないようです。壁が崩壊してから18年も経った今でも、癒されぬ傷を持ち続ける人は沢山いるのだと思います。

希望の持てるラストシーンに思わず拍手。あまりにも良かったので、思わず2回続けて、更にラストだけ何回も繰り返し見てしまいました。蛇足なんじゃ?なんて思った私が本当にバカだったよ。多くの人に見てもらいたい映画です。

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