2007/10/26

ジェイムズ・ジョイスとダブリン市民

ちょいと小耳に挟んだ、トルシエさんがアイルランド代表監督になるかもって話は事実なんでしょうか。前回のワールドカップは予選敗退だった大好きなアイルランド代表チーム。誰が監督でもいいから、次のワールドカップには出場してもらいたいものです。

前世はアイルランド人と言われる私ですが、最初にそれ聞いたとき、ケルト神話やジョイスの小説、イエーツの詩が好きだったからちょっと嬉しかったけど、それ以外に特に感想はなし。でも、2002年の日韓ワールドカッブでの、アイルランド代表チームのやたら粘りまくるゲームを見て思いっきりシンパシー。何を隠そうワタクシ、小学6年間全ての通知表の「粘り強く何事も最後までやり通す」ってとこに必ずチェック入ってたんですよ。

ま私の場合、その粘り強さを「しつこい」の4文字で表現されることも多いのですが。確かにしつこい。雪印の件を根に持って、未だに雪印製品&牛肉は絶対に買いません。ちなみに不二家や白い恋人はOK。てかすごく不思議なんですけど、賞味期限改ざんするくらいだったら、最初から長めに設定しときゃいいじゃんね…と思うのは私だけ? ずーっと改ざんしていても、腐りもしなきゃ誰かが腹を壊したわけでもなし。それだけ保存料てんこ盛りで不気味な食べ物ってことなんでしょうが、みやげ物ってそんな感じだよね大体。

話は思い切り戻りますが、アイルランドって人口400万人くらいの小さな国なのに、世界的に有名な映画監督や俳優、作家が沢山いるじゃないですか。アイルランドを舞台にした映画も多いし。それってやっぱ移民が多いからなんでしょうかね。マライア・キャリーとかニコール・キッドマンとか、ケネディファミリーやレーガン元米大統領もアイルランド系だし。

ノーラ・ジョイス 或る小説家の妻
ユアン・マクレガー
スーザン・リンチ パット・マーフィー
B0002ZEVRQ


タイトルにあるのはアイルランドを代表する作家、ジェイムズ・ジョイスの妻の名前。二人の生涯を描いた作品です。

この映画観てジョイス夫妻について感じたのは、ざっくばらんに言えばバカップル? 猜疑心と嫉妬の固まりで支配欲が強く、妻の言葉より友人の言葉を信じる夫と、無駄にプライドが高く気分屋で、平気で他人を傷つける妻。情熱的とか愛に生きてるとか言えば聞こえは良いけど、ハタ迷惑この上ないって感じ。ま、お似合いの夫婦なのかな。友達にはなりたくないけど。

と言ってもジョイスはユーロになる前は紙幣に描かれるほど著名な人だし好きな作家だし、その人生のドラマチックな波乱っぷりには興味ありまくり。焦点を夫婦ではなく、ジョイス自身と交友関係などに合わせた作品が見てみたいと思いました。

ザ・デッド/「ダブリン市民」より
アンジェリカ・ヒューストン
ドナル・マッキャン ジョン・ヒューストン
B0000677OH


ジョイスの初期短編集「ダブリンの市民」の中の話(死せる人々)をジョン・ヒューストンが映画化した作品です。ダブリンと言えばジョイスの出身地ですが、赤狩り(ってほんとに嫌な言葉だね)を逃れてヒューストン監督が移住した場所でもありました。脚本は息子ののトニーが、主人公のグレタは娘のアンジェリカ・ヒューストンが演じています。これが監督の遺作となりました。

これは本当に素晴らしい映画でした。静かに流れる深い川のような。ドラマチックな展開は全くありませんが、感動が腹というか、体のど真ん中にくる感じ。ジョン・ヒューストンって白鯨とか許されざるものとか、ごつい雰囲気の映画が多いのに、最後の作品がこれって。監督は撮影中に肺気腫に冒され、酸素ボンベを使いながら完成させたそうですが、本当に撮りたかったのは、こんな映画だったんだねと思うとまた感動。クリスマスの晩に降る雪に死生観を例えた原作のイメージそのままで、原作が好きな人にもおすすめですな。

ジョイスを読んでいる者として、ジョイス自身を描いたノーラ・ジョイスの方を見ると、あーーこうゆう人なんだね〜と妙に納得できるところもあったりして。映画の楽しみ方って色々なんだねーと改めて思いました。

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